インド大学院留学~IIScって何?IITじゃないの?~(オンライン留学編)

2020年からインド大学院留学する家族のブログ。コロナのため単身留学中。

インドに行く目的

最近インドに行く目的はなんなんだろうと考える。

人口が増加、若者が多く、日本にない、勢いや競争性があることは一つ。

文化的な背景としては、立国の経緯から多様性を包摂しながらも、大国を試行する矜持みないなものがあることも分かった。宗教の多様性・カーストにおける市民の階層化、民族など、複数のファクターがモザイク柄に重なり、それらを許す形で公的な制度は形成されている。選挙制度、大学入試、公用語の多様化など。

大国としてのインドの価値観は、英国による植民地時代から来ているもの。独立後のインドは、他国と同盟関係を持たず、戦略的パートナーシップを結びながら、意思決定の独立性を保ちながら、互恵関係を得るための外交を進めている。インドは、ネパールバングラディッシュパキスタンなどの近隣国から見れば、地域的支配者であるものの、アジア圏で言えば、中国の次のナンバー2であるという意識が強い。

安全保障では、パキスタン・中国を代表とする北方の領土問題を含む対立、海洋の安全保障が主要な課題として挙げられる。カシミール地方ではパキスタンとそれを後方から支援する中国・ロシアといった勢力をみている。パキスタンとは、イスラム教・ヒンドゥー教間の宗教的な対立に主に起因し、パキスタンは戦術核や政権とは意図を別とするゲリラ戦をもち、特異な緊張関係を形成している。対外的にみればいずれの国も反テロを掲げている。海洋安全保障では、インドは喜望峰からインドネシアの南方までをインド洋として認識しており、インド人が多い中東に関しても注意が払われる。西側海域においては、モルディブモーリシャスといった海洋との排他的な安全保障協定などを結ぼうとする一方、ASEANを含む東方においては、マルチでの協力関係を模索してきている。

いずれにおいても意識の中にあるのは中国との関係である。中国は対輸入が1位であり経済的な結びつきが非常に大きい。対して、領土・領海における安全保障上の緊張関係を持っている。中国とも戦略的パートナーシップを結んでいる。★

経済は、マドラスバンガロールといった都市圏では、アウトソーシング業務を基盤に成長したIT業務が転換を迎えており、外国企業の研究開発拠点が置かれ、そこで上流工程を含めた産業が発展している。大学はIITを中心とした理工系人材の増加、米国にて成功した起業家が母国へのプラスの還流を起こし、企業への投資が進み、同時にデジタルテックを使ったスタートアップを始めやすい基盤が構築されいる。実際、フィリップカートなどのユニコーン企業が成功し、大手投資家・GAFA等の資金を潤沢に持つ企業によって買収され、市場に資金が還流している。

インドにおける新興事業に対する、情報保護、データ規制についての動向については注目すべき点が多いと考えている。GAFAなどの米国主要企業に対するインドの規制がどのようになるかは、欧州を中心として、データ規制を強めていく時流に合わせるのか、研究開発拠点を置く企業との関係が優先されるのかは注目すべき論点。研究開発拠点においては、インド国内向けではなくグローバルな商品・サービス開発が行われているため、影響があるかもしれない。★

産業全体として外資規制を緩和し、対外直投を増加させていくのがインドの成長戦略であり、グローバルな研究開発拠点として有望であり、市場としても魅力的であることを対外的には示し行く必要がある。

一方では、地方は未開発の地域が多く、衛生面、カーストに起因する農業従事者の多さ・低所得など貧富の差も多い。地域においては伝統的な因習が残る地域も多く、労働者の権利が強く、外資規制により保護された形態が多く、文化的な背景から意思決定も複雑など、インド政府が対応すべき点は多い。

地方の未開発地域を開発余地とみることもできるが、アフリカ市場と比べた場合に、既存の複雑な文化環境・州制度に対応する必要がある点がネックになってくる可能性がある。通信環境やインフラ整備を迅速に進めることができれば、有望な市場としてみなす人が増えて、地域の発展にデジタル産業の恩恵を浸透できるかも。地域それぞれの課題解決に役立っていけるか、という観点もあるかも。★

 

ふと、ここまで書いてみて、日本としてインドとの関係をどのように捉えていくのか、という疑問がでてくる。確かに安全保障環境が深刻になっていく中で、中国を念頭において、同じ価値観を共有する仲間としての環太平洋的な取り組みは一つ重要であり、具体的には、小さくは海洋軍事面での協力、また包括的には経済支援を通じたインドの安定的な政権の維持、インド経済の安定的な成長。これがないと長期的にシーレーンなんか守れませんよ。ひいては日本としても安定的に石油資源の輸送はできませんよ。

この中間としてもう一つあるとすれば、それはサイバー領域や衛星分野における協力なのではないか、と思う。インドがサイバー領域でどの程度の強みを持っているのかは知らないけれど、インドとしては大国になるため今後強化していかなければいけない分野であろう。日本はまず強みがあるとは見られてはいないだろうけど、やっぱり資金面での協力になるだろうか。軍事、行政、主要インフラ、民間とセクターは様々。民間企業が扱う個人情報におけるデータ分析などは境界的な分野だと思うけど、その情報から以下に国として必要な情報を切り出す設計ができるかが重要かも。日本だとマイナンバー、インドだとAdhar。これらを通じて、一般企業も個人を認識する社会を設計する必要があるし、国際的なスタンダードが出来ていきそうに思う。インドの場合は文化的な背景から来ているものの、戸籍ではなく生体認証に基づく登録になっている点も認証のセキュリティを向上させることに貢献していると思う。安全保障・経済活動両面から見てもエマージングな領域であり、情報保護/データ規制/社会制度との連結/産業への利用という側面から政策の立ち回る領域なのでは。★

安定な経済、協力関係においては、新幹線などの輸送インフラに対してODAを出して貢献していくというのがあって、リチウムイオンバッテリー工場作ったり、これからは環境対応にも支援していくのでしょう。国内の1次産業→2次産業化は、日本の強みでもあるし、協力貢献できるところで引き続き続けていくべきところだと思う。

中国のときのように、日本企業がインドに進出してインド国内での生産を増加させて、インドでの需要を取り込んでいこう、という流れにならないのはなぜか。この部分は、日本企業がインドで失敗経験があり、インドは難しい市場であったし、これからもそうだ、という考え方があるからという話が主流。だけど、インドと中国の間で対外直投や海外企業への政策において違いがあるからかも。環境の違いを論じてみることも意味あるかも★

 

ここで今後自分のやりたいこと、という目線に立ち返ると、やはり人とは違うことをして付加価値をつけていきたいし、卒業してからは、日本に帰ってきたりして発展する分野に関わりたいと思う。

個人的には、新しいものへの即応性や挑戦力はなんとなく低い気がするから、腰を据えて取り組まなければいけない課題が向いている気がする。

それで言うと、インドの専門家 というのは間違いなく来るトレンドであり、人との違いを出せると思ってる。一方で、デジタルに関しては、グローバル展開しきっている分野で、地方課題を解決しながら非デジタル産業への広がりをみせる動きも、世界中どこでも起こっていてこれからも発展して、みんな追いかけているボールだなと思う。

 

サイバー・宇宙・データ・個人情報保護を対象とした今後のインド国内での産業の展開を追ってはどうか。インドはデータ数でも中国に匹敵する可能性があり、国内にグローバル波及する研究開発拠点を持ちながらも、国内の発展にも問題を抱えており、一筋縄では進まなそうという特徴がある。したがって、政策や市場の状況変化を追うことが重要。