インド大学院留学~IIScって何?IITじゃないの?~(オンライン留学編)

2020年からインド大学院留学する家族のブログ。コロナのため単身留学中。

インクルーシブを重視する社会

宿題の期限延長を要請するにしても、みんなに確認をとってから言うなど、勝手に進めようとしない。多数決を重視、民主主義とかってワードで形容してたけど、インクルーシブ、って方がしっくりくる概念かも。

以下引用

https://diamond.jp/articles/-/274946

インドのIT化が猛スピードで進む「3つの要素」、日本はもうかなわない?

大谷和利:テクノロジーライター https://diamond.jp/ud/authors/5fe0a2af7765615383000000
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ムンバイの風景 Photo:Hardik Joshi on Unsplash




GoogleMicrosoftIBMAdobe……この4つの企業はすべてCEOがインド人である。さらに、AppleIntelにも副社長など多数のインド人幹部がおり、今や“インドの強さ”はIT業界における世界的な共通認識になっている。日本ではまだ「インドがIT先進国」という認識の人は少ないのではないだろうか。しかし実際のインド社会は、ものすごいスピード感でIT化・デジタル化が進んでいる。モバイルファーストが徹底しており、キャッシュレス決済も日本よりも普及しているほどだ。(テクノロジーライター
大谷和利)

最近、ニュースなどでインドの話題を目にすることが多い。残念ながら、それはインド株とも呼ばれる新型コロナウイルスの変異株絡みのもので、世界各国で問題視され、ネガティブな印象につながっている。

しかし、本来のインドは、IT業界のトップ人材を数多く輩出しており、高齢化とは無縁な人口構成や国外からの投資増大などの要素も相まって、2020年代後半から2030年代にかけて市場としても、また世界企業の製造拠点としても大きな躍進が期待される国なのである。今回は、ここ数年にわたって筆者が目の当たりにしたインドの実情についてまとめてみた。
ステレオタイプや誤解も多いインドのイメージ

インドについて、今でも「仏教」「ヨガ」「カレー」「ターバン」の国というようなイメージしか持ち合わせていないとすれば、それは大きな間違いだ。インドにおける仏教は、ヒンズー教イスラム教、キリスト教、シク(シーク)教に次ぐ5番目の宗教であり、信者は人口の1%にも満たない。バラモン教の修行としての本来のヨガもごく一部の人が実践するのみで、それ以外は他国と同じくエクササイズとしてのものが主流だ。また、日本人が考えるカレーという料理はなく、カレーに見える多彩な料理には、すべて固有の名前が付いている。そして、いわゆるターバンも、人口の2%以下というシク教徒の中でも特に教義に忠実な人しかまとっていない。

一方では、世界有数のIT企業であるGoogleMicrosoftIBMAdobeのCEOはすべてインド人であり、他の産業でもトップや幹部がインド人という例は少なくない。Appleも、上級副社長の中にインド人を擁している。同国の優秀な人材確保のために、研究所やインターン施設を、インド国内に23校あるIIT(Indian
Institutes of
Technology、インド工科大学GoogleのCEOなど多数のエリートを輩出する名門大学)の近くに建設するIT企業は多く、Appleも、バンガロールと並ぶテクノロジー拠点のハイデラバードに2500万ドルを投じ4500人規模のR&Dセンターを設立した。
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SAP Labs IndiaのStartupStudio内部の様子 Photo by Kazutoshi Otani

さらにAppleは、iPhone
12を製造する鴻海(ホンハイ)精密工業の工場も同国内で稼働させるなど、インドへの投資を加速させている。というのも、インドは、現時点ではまだ貧富の差が激しいものの、国民の過半数が25歳以下の若者であり、2023年には全人口で中国を抜く見込みだ。同時に、2020年代の後半には中間層の購買力がEUアメリカ、中国を抜いて世界のトップに躍り出ると予想されており、市場としても非常に魅力的な地域となるためである。
モバイルファーストが当たり前

実際に筆者がコロナ禍の前に3度ほど渡印した際に感心したのは、渡航前にネット経由でe-Visa(電子ビザ)を取得でき、入国時にパスポートに正式なスタンプがもらえる仕組みや、e-Visaの取得者には、現地の主要空港で一定の通話と通信料がチャージされたSIMカードが無料でもらえるという特典の存在、そして、訪れた企業からホテルに帰る際に担当者から「タクシーを呼びましょうか?」ではなく「Uber(あるいは、そのインド版のOla
Cabs)を手配しましょうか?」と言われたことだったりした。

また、
インドでは3輪タクシーや屋台にまで「Paytm(ペイティーエム)」というキャッシュレス決済サービスが普及している。日本で2018年にスタートし、急速に普及した「PayPay」は、インドのPaytmの技術を基にして日本向けにローカライズしたサービスである。

これらのことからもわかるように、インドでは無数のサービスがアプリを介して瞬時に数億人の消費者に直結できることを念頭に作られており、何をするにもスマートフォンなどを利用するモバイルファーストの考え方が常識なのだ。

日本のマイナンバーに相当する国民識別番号の「アドハー」も、すでにほぼ全国民に普及しており、そこには指紋・虹彩・顔のデータも登録しているため、完全な生体認証システムとして機能する。そして、国が管理するこのデータによる認証サービスを民間企業にも積極的に利用させることで、銀行口座の開設などの手続きも簡略化しているのである。ちなみにアドハーの生体認証にはNECの技術が使われており、国家の根幹となる部分に日本が貢献できていることは、喜ばしい限りだ。
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海外で成功した人がインドに戻り祖国へ投資
スタートアップや産学官の取り組みが進む

もちろん、インド市場に注目しているのは国外企業ばかりではない。これまで、数多くの若さと能力にあふれた人々がいても資金調達の問題があったが、一度、海外で成功した人たちがインドに戻って祖国のために投資する動きも強まっており、起業家たちがそうした支援を受けてさまざまなビジネス展開を始めている。

そのような新興企業をサポートするインキュベーターアクセラレーター施設を大学が整備したり、大手企業の資金力とスタートアップのアイデアを組み合わせて共創する流れや、企業が周辺住民に対する研究施設の見学会的なものを開催して積極的に社会との交流を図る動きが見られるなど、産学官の取り組みもダイナミックに進みつつある。

たとえば、*ハイデラバードのIITに設置されたT-HUB
https://t-hub.co/と呼ばれるインキュベーターアクセラレーター施設では、2017年3月の開設以来、120社を超えるスタートアップをインキュベーションし、1100社を超えるスタートアップの支援を行い、1500社以上の企業を結び付けてきた。また、新たに3万2500平方メートルという巨大な新館のReactor
Buildingも建設中で、さらなる躍進が期待されている。*
残念なのは、このインド最大級のインキュベーターアクセラレーター施設のパートナーとして錚々たる国際的大企業が名を連ねているにもかかわらず、日本企業の名前がないことだ。

また、ドイツで設立され、今やヨーロッパで最大級のソフトウエア企業へと成長して世界規模で多様なビジネスアプリ開発を行っているSAPのインドにある研究施設、SAP
Labs India https://www.sap.com/india/about.saplabsindia.htmlもユニークな存在だ。この施設は、全世界に20あるSAPの研究開発ラボの中でもドイツ本国に次ぐ規模を持ち、SAP
Startup Studioという名のインキュベーション施設で培われたアイデアを製品化するなど、スタートアップとの共創が行われている。

SAP Labs
Indiaのキャンパスは2週間ごとにバンガロール市民に開放され、AIやマシンラーニングなどを含む最新テクノロジーのショーケースイベントが開催される。この取り組みにより、経済的な事情で望む道に進めなかった人でも、意欲さえあれば最先端の技術に触れたり、研究者とのやりとりができるのだ。
「ジュガール」の精神と
インド人が重視する3つの要素

そして、今、インドは新型コロナウイルス禍によって多くの感染者と死者を出している。その数字は驚くべきもので、もちろん、深刻ではあるのだが、これは人口の母数が多いことも関係しており、死亡率自体は筆者の自宅のある大阪府よりも低かったりする。

インド人がよく使う言葉に「ジュガール」というものがあり、これは良い意味で現状を受け入れて、その中で解決策を見いだすようなことを指している。たとえば、あるプロジェクトで、急に納期や予算が半分になったとしたら日本人はパニックを起こすかもしれないが、インド人は、その制約の中でやり遂げようとする。当初と同じ100%の成果は期待できなくとも、何とかそこに近づこうと努力するのである。したがって、ウイルス禍に関しても、筆者は中・長期的に見て必要以上に心配はしておらず、何らかの解決策を見いだしていくものと考えている。

このように書いた後から、インドでの1日あたりのワクチン接種者の数が、750万人という新記録を達成したとのニュースが飛び込んできた。このペースでも、全国民に行き渡るまでにはまだ時間がかかるが、インドの場合には人々が接種会場に足を運ぶほかに、医師らが人々のところを巡回して接種する方法も採られ、ジュガール精神の健在さを印象付けている。

最後に、
ある大手日本企業のインド駐在員の方との話の中で、インド人の日本に対するイメージを尋ねたところ、「先進的な技術立国としてのイメージの“貯金”はまだ多少残っているが、このままでは数年のうちに失われるだろう」と危惧されていた。日本企業は、その貯金があるうちに何をなすべきか、真剣に考える時が来ているといえよう。インドでは、企業人も起業家もデザイナーも、何かを作り出すに当たって、3つの要素を重視する。それは、社会的なインパクトがあるか?
インクルーシブ(全員参加型)か? そして、スピード感を持って事に当たっているか?
という3点だ。手始めに、自分の会社がこの3つの要素を満たせるかどうか、考えるところから始めてみるのも一つの方法である。